春の高山祭に行かれる方のために
(参考情報)

参考情報と言っても昨年今年と2回行っただけですので、かなり限られた体験にすぎませんが、実際に行ってみると公式サイトや旅行のガイドブックなどに書いてないことに出会ったりもします。その辺りを中心にまとめてみました。写真撮影についてはデジタル一眼レフカメラ使用を想定しています。
(公共交通機関の時刻、料金などは2006年〜2007年のもです)

アクセスについて 東京近辺から公共交通機関で行くとなると、新幹線・高山線乗り継ぎと新宿からの直通高速バスがあります。時間的にはどちらでもあまり変わらず、料金はバスの方が断然安いですが、渋滞する場合もありますので、そのあたりをどう考えるかです。
また帰りのバスは高山発15時30分(新宿着21時)が最終なので、祭(2日目)当日に帰る場合は屋台が屋台蔵に帰る「曳き別れ」までは見ることができません。(片道の料金はバスの場合6000円くらい、新幹線・高山線特急で指定席をとると16000円くらいになります)

私の場合、昨年は往復とも新幹線・高山線、今年は往きは13日(金)16時新宿発のバスで、全く渋滞が無かったので予定より少し早く21時ちょっと過ぎに高山に着きました。途中2回の休憩があり、乗り換え無しなのでかなり快適でした。

帰りは祭の最後まで見たかったので高山発18時49分発のL特急(ワイドビュー)ひだ20号を利用しました。なお、高山駅から春祭の中心地区までは、ゆっくり歩いても10分くらいです。

宿泊について 日帰りの駆け足ツアーもあるようですがパンフを見ると「高山祭見学2時間」なんて書いてあったりで、やはりじっくり祭を堪能したり、写真を撮るには1泊、できれば2泊したいところです。
(東京・神奈川から1泊ですと、初日は早い時間の新幹線利用でも名古屋発8時43分のワイドビューひだに乗るのが精一杯で、これは高山に着くのが11時ちょっと前ですから、屋台蔵から屋台が曳き出されるところとか、曳き揃え場所への移動シーンを撮るには間に合いません)

屋台蔵からの出し入れは2日目もありますが、昨年・今年の屋台曳き揃えの場所からは、初日のほうが曳き揃え場所に向かう屋台を1箇所でまとめて見ることができます。−−−−−秋祭と違って、春祭は日中の屋台曳き回しはありませんので、日中に屋台が動くところは屋台蔵と曳き揃え場所の往き来しか見られません。夜祭は春祭でも屋台が動きます。

ホテルは当然祭の期間中は混み合います。但し、本当のピークは14日泊の1日だけですから、13日は間際でも比較的予約がとりやすいようです。そして13日OKならば、電話で交渉して14日連泊を聞いてみると、意外に間際でもとれたりすることがあるようです。無論予約は早くするに越したことはありません。

インターネットのサイト(楽天、じゃらんその他)からでも予約はできますが、直接電話で聞いてみたほうが早いです。(インターネットでは空き室情報がアップされるのがあまり早くありませんので、電話の方が早くからアプローチできます。なお、料金についてはインターネットでは比較的安い料金で受けている場合もありますから電話する場合もあらかじめ見ておくといいと思います)


高山駅近辺の徒歩圏内でとれなかったら他の場所でという手も無くはありませんが、高山駅からタクシーで行くところでも14日泊は混んでいます。別の駅となると主立ったところでは下呂温泉くらいでしょうか。14日の夜祭が終わった後だと21時30分高山発の普通列車が最終ですが、下呂まで1時間くらいかかります。翌朝また高山まで出てくることを考えると、やはり高山駅近辺に確保しないと辛いところです。
(以上の宿泊情報は、あくまで「安いビジネスホテルのシングルルーム」しか泊まらない(泊まれない)自称「貧乏アマチュアカメラマン」の私の感想ですから、お金持ちの方には関係ないかと思います)


天気と寒さ対策について これは特に遠方から出かける場合、「高山祭最大のリスク」です。京都の祇園祭は雨でも屋台に透明の覆いをかけて強行しますが、高山祭はポツリとでも来たら直ちに屋台蔵に引き揚げです。降っていなくても雨のおそれが大きい場合は屋台蔵から出てこないことがあるようです。(そういう年に出くわした方のボヤキがインターネットに出ていました)

今年も初日午前中9時前後にちょっとパラッと雨が降ったら、出てこない屋台が多く、その後急速に天気が回復して青空が出てきても屋台の出足は鈍く、9時半には曳き揃えられる予定が、全て揃ったのは午後2時を過ぎていました。

高山祭の屋台は、祇園祭の屋台のように毎年組み立てて終わったら解体して保存というのではなく、完成した屋台をそのまま背の高い屋台蔵にしまっておくということで、雨に濡らすわけにはいかないのでしょう。ともかく雨の無いことを祈るしかありません。(実を言うと、私も前々日までの天気予報にあきらめて一旦ホテルなどをキャンセルしてしまい、前日になって予報が変わったので、あわててあちこち電話しまくってなんとか某ホテルを確保したという次第です)

寒さ対策ですが、今年は2日とも暖かく東京・神奈川とそんなに違いはありませんでしたが、昨年は高山陣屋の庭にまだ雪が残っており、夜祭はもちろん昼間でも冬のような寒さで、手袋・マフラー・使い捨てカイロが必要でした。念のため寒さ対策は十分にしておく方がいいでしょう。

写真撮影について 大勢の観客が集まる「からくり奉納」も2日間で4回行われるなど「一点集中一回限り」ではないので、祇園祭「山鉾巡行」の河原町交差点みたいな人気スポットでの殺人的な混雑はありません。とは言っても全国的に有名なイベントですから写真撮影もそんなに楽という訳ではありません。

楽な方から行きますと、2日とも街中を歩き回って曳き揃えられた屋台を撮るのは簡単です。但し屋台の周りは大体常に人がいますから人を入れないで撮るというのはかなり難しいです。また、屋台は背が高いので画角の狭いデジカメでは屋台全体を撮るのは苦労します。一眼レフなら20ミリ台の広角レンズも是非欲しいところです。(広角レンズであれば屋台に近づいて撮れるので人が入ってしまうのも避けやすいです)一方で、からくり奉納を遠く(人混みの後ろ)から撮るのであれば300ミリくらいのレンズが必要です。−−−−撮像素子が35ミリフルサイズのデジカメであれば28−300ミリ一本でおおむね用が足りると思いますが、APS−Cサイズだと10ミリ台のレンズが無いと屋台の近くで全体を撮るのは苦しくなります)

それと、最近は手軽に持ち運べる30センチくらいの高さのミニ脚立や踏み台もあるので持って行くとよいでしょう。からくり奉納などではほんのわずかでも高い位置から撮るとかなり違います。(但し、当然人混みの中でニョキッと頭を出せば顰蹙を買いますので、建物の壁際など後ろに人のいないところめを選ぶ必要があります)

私も30センチの折りたたみ踏み台を持って行き、後ろに人のいないところでカメラを構えたのですが、意外な伏兵が「子供の肩車」です。(私が掲載した写真にも写っています)
これはからくり奉納で出会いましたが、始まってから突然肩車。しかも子供にデジカメを持たせて写真を撮らせるというかなりの「確信犯」。「邪魔だ!」という声が飛ぶことを期待(?)したのですが、なぜか皆さん大人しくてそのままでした。こういうのはご遠慮いただきたいものです。

からくり奉納は高い位置で演じられるので、屋台に近い位置にいれば見上げる形で撮れますから「どういう角度でもいいからとにかくカメラに収めたい」というだけならなんとかなります。ただ、やはり水平方向でバックに松の緑などを入れて撮るには上記のように踏み台などを据えて人混みの後ろに場所取りするのがいいと思います。
その時の状況にもよりますが、開始1時間くらい前に行けばなんとかそういう場所が確保できると思います。背景に松などの緑があるととても綺麗ですが、3台の屋台について万遍なくバックに緑を入れようとすると場所を変えて2回以上撮らないとムリです。(奉納が始まったら場所を変えるのは不可能です。1回の奉納は3台で合計40分くらい)

三脚ですが、からくり奉納の場合は人混みのところでは当然使えませんし、私はビデオカメラもあったので人の来ないであろう片隅に三脚を据えたのですが、それでも奉納が始まる頃にはかなりの人波でなんとか最後まで撮れましたが、いつぶつけられるかヒヤヒヤでした。

なお、当然ながら夜祭の撮影には三脚は必須です。ストロボは距離的に届かないですし、仮に届く距離であっても夜祭の雰囲気を写真に収めるにはストロボ無しのほうが適しているので、やはりしっかりした三脚が必要です。私は今年はISOを昼間と同じ400、絞りを11に固定し、撮影結果を見ながら2〜5秒の露光で手動調整しながら撮りました。(プログラムオートですと、周囲の明るさなどに左右されることもあり、やはり撮影結果を見ながら手動調整した方がいいと思います)

なお露光時間が長いので、いかにカメラをしっかり固定しても被写体の屋台の方が動いてしまうとどうしようもありません。従って、「屋台が停止しやすい場所」を選ぶことが必要です。それとストロボが届くような近い距離ですとちょっと屋台が動いても被写体ブレが大きく出てしまいますし、屋台が近づくと全体を捉えることが難しくなるので、やはりある程度距離のとれるところのほうが綺麗に撮れるでしょう。

春祭では朱塗りの中橋が見せ場なので、複数の屋台が橋の上に停まることもあり、また夜祭が始まって間もなくなのでまだ空がうっすらと青く、真っ暗になった後よりも雰囲気のある写真が撮れます。私はここで撮り終わった後、安川通りの交差点に場所を移して撮りました(移動に要する時間は10〜15分なので、2箇所での撮影も可能です。但しその年によってコースが変わることがあります)

それと、夜祭の撮影では人気スポットは2時間くらい前から場所取りをしている人もいます。注意しないといけないのは人の集まりやすい「橋の上「や「橋のたもと」(ごく近く)です。
中橋を渡る屋台を撮影する定番ポイントが「筏橋」ですが、今年は筏橋自体が屋台の経路となっていたため、筏橋の歩道に場所取りをしていた人は気の毒に排除されてしまったようです。しかも排除にかかったのがかなり遅く、遠くから見ていてもガードマンともめているらしいカメラマンの姿が見られました。

私も去年の秋祭で江名子川という小さな川の橋のたもとで経験しましたが、事前にガードマンに「ここは大丈夫ですね」と確認してOKと言われていたのに、直前になって「すみませんやっぱりダメだそうです」と言われました。この辺りはあれだけ有名なイベントにしては手際が良くありません。撮影可能場所かどうかははっきり決めて、現場に徹底したり表示を出しておくべきです。

それから、旅行のガイドブックには満開の桜と屋台が写っている写真がよく載っていますが、これはかなり稀なようです。。昨年は蕾も蕾、全く花の色さえ見えない小さな蕾でした。暖冬と言われた今年でも初日の朝は5分咲きくらい、2日目の祭の終わり頃でもやっと6分か木によっては7分くらいかなというところ。

どなたかが「ああいう満開の桜を祭の時に見るには10年高山に通わないとダメだそうだよ」と言っていましたが、春祭で満開の桜に出会うのはかなり難しそうです。

食事・トイレなどについて これは著名な観光都市である高山ですからほとんど心配ないと言っていいでしょう。(女性トイレは結構行列ができていましたが)

地方都市は夜の店じまいが比較的早いですが、遅くまで開いている飲食店もあります(数はあまり多くないようですが)ので、夜祭が終わった後でも大丈夫です。イザとなったら駅の近くに24時間営業のコンビニもあります。

なお、祭の期間中でも街の中にゴミ捨て場所は全く(殆ど?)見あたりませんので、ゴミは持ち帰りになります。